ROUTE END
今回紹介するのはマンガのROUTE ENDです。
作者は中川海ニ先生。ジャンププラスで連載されてました。
あらすじ
ROUTE ENDは特殊清掃会社に勤務する春野太慈が、会社の社長で恩人の橘浩二の死をきっかに「END事件」と呼ばれる猟奇殺人に巻き込まれ、事件の真相にせまっていくサイコサスペンスです。
話の先がとにかく気になる作品
面白く読んでいるマンガの殆どは先が気になるものですが、ちょっとこのROUTE ENDはそんな面白いマンガ達よりも、ちょっとレベルの違う面白さを感じました。
兎に角読んでいて先が気になってしょうがない、読む手が止まらないという感覚です。
この感覚は久しぶりに感じました。
これだけ先が気になるのは、話が面白いのは勿論なんですが、話の構成力が本当に上手いのです。
構成が本当に上手いので、読んでいて読み手が迷子になる事がありません。
ちょっと人気のあるマンガなんかでもたまにありますが、読んでいて「あれ今誰の話してるんだっけ」とか、「今何処にいるんだっけ」という感じで、話があちらこちらに飛んで迷子になる事があったりします。
それとこういったミステリー系のマンガや小説では読者に犯人を推理してもらう為に色々とヒントや伏線を張っているものですが、中にはミスリードさせる為に周りくどい話を混ぜたりしてそれが過剰になって、推理放棄したくなるようなものがあったりしますが、ROUTE ENDは構成が上手いので、登場人物達を使って最後までしっかりと推理をするやる気を失わせません。
ROUTE ENDははっきり言ってしまうと、金田一少年の事件簿のような明確に読者に犯人を当てさせる為のミステリーマンガではないにも関わらず、最後まで真相を考えさせてくれる構成力は本当に見事です。
さらに単行本の作りが上手く、各巻の終わらせ方が絶対次の巻読みたくなるよという話で終わっています。
これらのおかげで本当に私は読むのがやめられなくなり、全8巻という事もあってあっという間に読み終わってしまいました。
ただのミステリー・サスペンスマンガではない
ROUTE ENDは形としてはミステリー・サスペンスマンガではありますが、単なる娯楽としてのミステリーマンガではありません。
娯楽としてのミステリーマンガや小説は、当たり前ですが事件解決したらそれで終わりです。
しかしROUTE ENDは犯人分かったらそれで終了ではなく、最初から最後まで死について描写しています。
それも不慮の死によって残された家族や知人達の描写をです。
残された人達の心情がこれでもかと描写されるので、例え事件の真相が分かっても、これで終わりめでたしめでたしとはなりません。
これは物語の最初から主要登場人物の殆どがこういった悩みを抱えている設定にしていることからも、中川先生はかなり意識して描いているんだと感じます。
傑作だとは思うのですが
個人的にROUTE ENDは近年読んだマンガの中では間違いなく傑作だと思います。
ここまで話に入り込んで読ませてくれる作品は中々ないです。
ですが、じゃあ好きなマンガ上位に入るかとか名作かと言われるとそこまでではないのです。
この辺は完全に個人の好みになってしまいますが、敢えて気になった事をあげてみます。
主人公の印象が薄い
主人公の太慈は刑事でもなければ探偵でもないのでしょうがないのですが、ちょっと影が薄いかなと感じました。
やっぱりマンガとかは何だかんだで主役を立てるのは重要な要素だと思っているので。
物語の結末が・・
事件の真相や犯人についての話は本当に引き込まれるのですが、最後の結末が今一つ個人的にはしっくりこなかったです。
あまり書くとネタバレになるので説明は出来ないのですが・・
話が重い
これは完全に個人の好みになりますが、前述した通り死について深く描いているので、読んでいて気持ちが重くなります。
そういう話が好きな人もいると思いますが、私はマンガ・ゲームなどの趣味に関しては普段のストレスを解消する為、息抜きの為のものなので、あんまり気が重くなる話はちょっと辛いです。
たまにならそういう作品を読むのも悪くないですが、個人的には苦手な部類です。
ミステリーは好きなんですが、それ以上踏み込まれるのはちょっと・・
絵の描き分けが・・
個人的にはシンプルな絵で読みやすくて好きなんですが、やや顔が似たキャラがいてちょっと誰だっけとなりました。
完全に個人の好みによるものですが、以上の事があってROUTE ENDが物凄く好きかといわれるとベストではないかなと。
それでも近年私が読んだマンガの中ではかなりの傑作だと思います。
DYS CASCADE(1) (月刊少年マガジンコミックス)
作者の中川海ニ先生ですが、現在連載中のDYS CASCADEも凄いです。
ROUTE ENDと同じくサイコサスペンスですがこちらも続きが気になる展開で、ROUTE ENDにハマった人ならこちらも必ずハマるはずです。
こちらは単行本はまだ2巻しか出ていないので早く続きが読みたいです。