月館の殺人
今回紹介するのはマンガの月館の殺人です。
あらすじ
鉄道嫌いの母の影響もあり、いまだかつて電車に乗った事のない女子高生の雁ヶ谷空海は、母の死から2カ月後、弁護士の中在家から「母方の祖父が生きていて財産相続の件で北海道まで来てほしい」と伝えられる。
祖父の待つ月館へは幻夜号という列車に乗って行く事になり鉄道初体験をする。
そこで空海は6人の「テツ」に出会う。
この6人も祖父の招待客で6人と鉄道の旅に出ることになるが、やがて一人の乗客が死体で発見される・・・
という鉄道ミステリーになっています。
綾辻先生の本領発揮
月館の殺人は原作が館シリーズなどでお馴染みのミステリー作家・綾辻行人先生なので、ミステリー部分の話は流石という感じで動機やキッカケ、トリックなどはしっかりしています。
ミステリーマンガでも意外とその辺がユルイものがあったりしますからね。
私は殺人を犯すにはそれなりの動機とかが必要だと思ってしまう人なので、その辺はしっかりしていて良かったです。
言い方は悪いですが、犯人に殺されてもしょうがないねと思わせるくらいの説得力が欲しいです。
それと流石、館シリーズの綾辻先生といえるトリックもあり、ミステリーものとしては文句なしの出来で、恐らくほとんどの人は意表をつかれると思います。
佐々木先生らしい表現
そんな月館の殺人ですが、実に独特な雰囲気を醸し出しています。
その独特な雰囲気を出しているのは、作画の佐々木先生の描写が大きいです。
殺人ミステリーですから本来なら緊迫した雰囲気で話が進むはずですが、佐々木先生の作画によって、どんな時でもユーモアを感じるようになっています。
これは殺人ミステリーなんだから緊迫感がないと駄目だろうという方には合わないと思いますが、個人的にはこのギャップみたいなものがアクセントになっていて面白かったです。
そのユーモアセンスに拍車を掛けているのが、鉄オタ達の描写です。
月館の殺人は鉄道が大きく関わってくる話なのですが、そこに鉄オタを絡ませるというのが面白いです。
私は鉄道の事は良く分からないごく普通の人なので、鉄オタの人達ってこんな人達なのという感じでミステリーとは違う部分でも楽しめました。
月館の殺人は本格殺人ミステリーマンガでありながら、読んでいて思わず笑ってしまうようなかなり独特な雰囲気を持っているそんな作品でした。