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六人の嘘つきな大学生


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六人の嘘つきな大学生

今回は小説の「六人の嘘つきな大学生」を紹介します。

著者:浅倉秋成 出版社:KADOKAWA

私は一応小説もちょっと読みます。

マンガに比べたら全然少ないですし、読むジャンルも非常に偏っていてほぼミステリーか歴史小説しか読みません。

しかも家では基本的にゲームかマンガで、小説は職場の休憩時間か通勤電車の中でしか読まないので読み終わるのも遅いです。

家で読む時は余程続きが気になるかもう少しで終わる時くらいです。

そんな大した本読みでない私が薦める本など本好きの方からしたら「そんなの知ってる」レベルだと思いますが、私がここで紹介するのは私が個人的に「物凄く面白かった」か「とにかく誰かに教えたい」という気持ちになった本なのでちょっと参考にする程度な気楽な気持ちで読んでください。

「六人の嘘つきな大学生」あらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が行う新卒採用試験。最終選考に残った6人の就活生に与えられた課題は一ヶ月後までにチームを作り上げてディスカッションをするというものだった。

当初は全員で内定を勝ち取る為に6人で協力をして交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。

それは、「6人の中から1人の内定者を決める」こと。

仲間だったはずの6人は、一つの席を奪い合うライバルとなる。

最終選考当日、議論が進む中で部屋の隅に6通の封筒が発見される。その封筒の中には「○○は人殺し」という告発文とともに6人の秘密が晒された写真が同封されていた。

彼ら6人の嘘と罪とは、そして犯人の目的とは


六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本)

後味の良いお話

読み終わった感想をまずは簡単に言うと「読み終わった後の読後感が最高に気持ちいい」です。

最後の最後で全てが晴れやかな気分になる物語は久しぶりでした。

最後にこういった気分になるのは物語の組み立て方、登場人物の人物描写そして伏線の張り方が見事だったからです。

これが本当に上手くて、ストーリーの進行ははっきりとパートが分かれている訳ではありませんが、プロローグ、事件、解決編、真相編のような感じになっていて、事件発生から解決編までだと登場人物達全員印象が良くないままだったのが、最後の最後で全ての真相が明かされると、あれ程嫌悪感を抱いた犯人ですら印象が変わります。

こういう気持ちになるのは伏線の張り方が見事で、それまでの何気ない日常描写ですら伏線だったのかという感じで、普通に読んでいたら恐らく余程鋭い人でないと伏線だと気づかせないレベルの見事さです。

伏線が張り巡らされている物語は小説に限らずアニメ、マンガ、実写ドラマ、映画なんかでも特に最近は多いと思います。

私もそういう話は嫌いではないです。

ただ露骨な伏線の張り方や、あまりにそういう伏線が多いと、それはそれで考察とかが好きな人は楽しいのだと思いますが、個人的にはそればかり気になって疲れる事もしばしばあります。

しかしこの六人の嘘つきな大学生は結果として伏線だった描写は多いですが、本当に何気ない感じで描写されているので、読んでいても気づかせず(私が鈍感なだけかも)、それ故に物語に集中出来て良かったです。

そして最後のとある秘密が分かった時に、これまで何気なく読んでいた描写の数々が「そうだったのか、だからこうだったんだ」「もしかしたらこれも」と頭の中でどんどん思い返されていきます。

これが本当に読んでいて気持ち良かったですし、それによって登場人物達全員の印象が大きく変わりました。

伏線が多い物語は最後のネタバラしで「騙された」という気分になる事が多いですが、この六人の嘘つきな大学生は「騙された」というより「そういう事か」と読んだ後清々しい気分になれて「読んで良かった」と思える作品でした。