がんばれ元気
今回はゲームではなく漫画の紹介をしたいと思います。
私はゲームも好きですが漫画も好きです。とはいえゲームと一緒でそんなにマニアックではなく、せいぜい普通の人よりちょっと読む程度で、さらに言うと考察するような深読みは出来ませんので、読んだ感想程度の話しか出来ませんので気楽に読んでいただければと思います。
そこで今回はボクシング漫画の傑作「がんばれ元気」を紹介したいと思います。
なぜ今「がんばれ元気」を紹介しようと思ったのかと言うと、先日開催されていた東京オリンピックの女子ボクシングで金メダルを獲得した入江選手が、ボクシングを始めたキッカケは「がんばれ元気」を読んでというのを見たからです。
入江選手くらいの年齢なら「はじめの一歩」じゃないの?という感じですし、そうでないにしてもボクシング漫画といえば「あしたのジョー」もあるのに「がんばれ元気」だというのが意外に感じたのがキッカケです。
がんばれ元気は主人公・元気の生涯を描いた漫画
「がんばれ元気」を一言で紹介すると「主人公堀口元気の生涯を描いた漫画」です。
「がんばれ元気」もボクシング漫画の定番である世界チャンピオンを目指す漫画ですが、そこまでの話を書くのに、主人公の元気が5歳から始まって小学生・中学生そしてプロボクサーといった具合にその年代のエピソードを描いているので正に元気の成長物語となっています。
幼少期
幼少期は人情物語的な内容になっています。
一応、主人公の元気は幼少期から既にボクシングをやっていて才能があるという描写はありますが、どちらかというと元気と父親の絆の話がメインとなっています。
元気の父親はシャーク堀口というリングネームのボクサーで母親は元気を産んで直ぐ死んでしまっています。(その事もあって母親の両親から元気の父親は恨まれています)
幼少期編はそんな父親が男手一つで元気を育てながらボクシングで再起をはかる話が中心になっています。
シャーク堀口は苦戦しながらも勝ち上がっていきますが、関拳児という若手のホープ(後の世界チャンピオン)と対戦をして奮戦しますが負けてしまいます。
さらに試合中に強烈なパンチを受け場外に頭から落ちてしまい、それが原因で試合後に死んでしまいます。
この関拳児戦から父親の葬式までのエピソードは泣けます。幼少期編は元気がボクシングで世界チャンピオンを目指す動機がしっかりと描かれていて、この後元気がどう成長していくのか気になる終わり方になっています。
小学生編
小学生編では元気の今後に関わる重要人物達との出会いが書かれています。
元気の通う小学校の美人教師芦川先生。
元気がボクシングをやっている事を知り元気を気に掛けてくれるようになります。
町のボクシングジムのトレーナーの三島栄司。
三島は元全日本学生チャンピオンでプロに転向し関拳児と対戦するも敗れてしまいボクシングを断念しヤクザの用心棒にまで堕ちた事があります。芦川先生とは元恋人同士。
ボクシングのライバルとなる火山尊。
火山はボクシングで成り上がろうとするハングリー精神の持ち主で、裕福な家庭でボクシングをする元気に対して異常な敵意をもっています。
また小学生編は内容が非常にハードです。
父親を亡くした元気は母親の祖父母に引き取られ育てられています。(祖父母はお金持ちです)
幼少期はヤンチャだった元気ですが小学生では大人しい優等生になっています。
そんなお金持ちで優等生でしかも容姿端麗な元気に同級生達は嫉妬してイジメをしたり挙げ句の果てに小学生達の憧れの的である美人教師の芦川先生にも気に入られていると吹聴し上級生を巻き込んで元気に対して集団リンチをします。
さらにはライバル火山と出会いスパーリングで対戦しボコボコにやられてしまいます。
とにかく小学生編の序盤の展開は今だと少年誌じゃ書けないだろといったハードな内容になっています。
その後もジムに因縁吹っ掛けてけきたヤクザ達からジムの人々を守る為に三島がヤクザ達をボコボコにして、警察に出頭し刑務所に入れられるという事件も起きます。
三島は元気に「刑務所から出たらボクシングを教えてやる」という約束をして連れて行かれてしまいます。
幼少期は父親が全てだったのに対し、小学生編では元気自身も祖父母に気をつかう程に人間的に成長していたり、重要人物達との出会いによってボクシングに対する姿勢も変わっていく過程が描かれています。
中学生編
中学生編ではボクシングだけでなく、これまではあまりなかった同級生との学校生活や恋愛などが描かれています。
中でも印象深いのは、元気に一途な想いを寄せる石田とも子です。元気が中学を卒業してプロボクサーになる夢を知ると元気に惹かれ積極的にアプローチします。
また学校一の秀才岡村とは色々ありながらも親友になります。
このように思春期の学生にあるような生活を送っている一方で、出所した三島からボクシングのコーチをしてもらうようになりボクシングの実力もメキメキ上がっていきます。
しかしそんな充実した生活も永くは続きません。三島は病に冒され志半ばで死んでしまいます。
中学生編では思春期の学生にある恋愛や友情の話や進路についての両親(元気は祖父母)との対立などボクシング意外の話もあって色々と考えさせられます。
上京・プロ編
上京・プロ編に入っていよいよボクシング漫画らしくなってきます。
長年のライバル火山との決着、関拳児をも凌ぐ天才と言われる海道卓とのWBC世界チャンピオン戦の壮絶な死闘、そして関拳児との統一戦など心に残る名試合が展開されます。
話は変わりますがボクシング漫画といえばライバルの存在ですが、「がんばれ元気」には宿命のライバルといえる存在がいないような気がします。
「あしたのジョー」におけるジョーと力石や「はじめの一歩」における一歩と宮田といったライバル達の存在です。
関拳児は年齢も離れていることもあってライバルというよりも「目標」といった存在で、そうなると年齢も近い火山がということになりますがライバルはライバルだと思いますが力石や宮田のような”宿命の”ライバルかというと違う感じがします。
これはジョーと力石、一歩と宮田が両想いなのに対し元気と火山は火山の一方的な片想いだからではないでしょうか。
元気の目標は最初から一貫して世界チャンピオンになる事です。それに対して火山は最初は元気と同じく世界チャンピオンになる事が目標でしたが元気と出会い何度か拳を交えているうちに元気を倒す事が目標になっています。
この差があるので元気と火山はライバルではあるけれど”宿命の”という感じがしないのではないでしょうか。
上京・プロ編ではボクシングだけでなく元気の私生活で出会う人々との交流も描かれています。がんばれ元気の良い所はそういったボクシングとは関係ない人々との出会いを描いてその殆どの人に対して結末やその後をちゃんと描いてくれる所です。
その出会いと結末をちゃんと描いてくれているので、最後の関拳児戦の前に、元気が過去に出会った人々がTVの前で元気を応援しようとする場面が出てきて、その人達の近況が分かり、読んでる方も何か嬉しくなります。試合前のちょっとしたカットなのにその場面が物凄く印象に残っています。
このようにボクシングだけでなく主人公元気の生涯を描いているボクシング漫画の名作「がんばれ元気」。
もし気になったという方は読んでみてはいかがでしょうか。