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雪花の虎


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雪花の虎

今回紹介するのはマンガの雪花の虎です。

雪花の虎は戦国時代最強の武将と謳われた上杉謙信は女性だったという説を東村アキコ先生がマンガとして描いた作品です。

この作品を描くにあたって先生ご自身で取材されているようで、かなりの確信を持って描いているように感じます。

女性ならではの作品

雪花の虎ですが女性作家ならではの視点で描かれている感じがします。

それを1番感じるのは女性特有の月のものに関して、女性だからこそ分かる苦労みたいなものをしっかりと描いています。

上杉謙信が女性だという説が上がる一つの理由に、合戦の最中でも原因不明の腹痛で一週間程度引き篭もるというのがあり、これが生理だからではないかと言われているからです。

東村先生もこの辺の話に結構焦点をあてていて、月のものがいかに女性にとって重要な事であり避けては通れないものだと分かっているからこそだと思います。

更に生理がどんなものかというのも結構詳細に描いてます。

マンガ内の設定として景虎(謙信の事)は生理が女性の中でも重たい方だとされています。

それを読者(特に男性読者)に分かってもらうために、景虎の影武者であるシロが一緒に住んでいる妹を例にして、「月のものがくると普段穏やかなのにイライラする」みたいな感じで、ただ腹痛があるだけでなく精神的にも辛いという事を説明してくれます。

私の奥さんも重い方みたいで、この説明をした時のシロの言ってる事に共感しました。

もしこれが男性作家で女性の月のものに関して文献程度の知識しかなかったら、恐らくここまで月のものに関して焦点あてなかったかなと思います。

他にも男性との経験や恋愛に関してもしっかりと描いているのも女性作家だからかなと感じました。

特に恋愛の部分は相手の男性の顔などが他の男の武将と比べると、明らかに一段上のイケメンですし、景虎自身の表情もその時だけは男勝りの姫武将の顔ではなく、恋する乙女のような表情で描かれているのが流石女性である東村先生と思わせます。

女性にとってはイケメンとの恋は外せないですからね。

ちょっと物足りない部分も

女性ならではの視点で上杉謙信が女性だったという事を丁寧に描いている一方で、男性読者である私にとってちょっと物足りないと思う事が一つだけありました。

それは合戦シーンです。

実際の戦国時代の合戦が、映画やマンガの花の慶次のようなド派手なものではなかったというのは私も聞いた事はあります。

それでも私は花の慶次などを読んで育った人間なので、やはり戦国時代の戦さというとド派手な絵を期待してしまいます。

特に上杉謙信といえば武田信玄との川中島の合戦が有名ですし中でも第四次合戦は戦国の合戦の中でもかなりの死傷者を出した合戦となっています。

雪花の虎でも物語のクライマックスはこの合戦になっています。

ですがマンガ内の合戦シーンは至ってシンプルで激しい戦闘描写はありません。

これが原哲夫先生とかだと、あちこちで首や腕が飛んでるくらいの戦闘描写になりそうなものですが。

この辺の違いを男性・女性作家だからと必ずしも性別での違いだとは思いませんが、多分私のような男性読者だと同じように感じる人もいると思います。

これは東村先生が合戦シーンを蔑ろにしているという事ではなく、このマンガで見せたいのは合戦ではなく、景虎の人となりや生涯を見せたかったからだと思います。

話変わりますが、雪花の虎は単行本のおまけマンガや歴史初心者の為の説明など東村先生ならではの面白さも味わえます。(おまけマンガが面白いです)

雪花の虎上杉謙信が女性だったという説を女性である東村先生が丁寧に描きあげた戦国時代マンガの傑作です。

私もこのマンガを読んだ後、ゲームの信長の野望上杉謙信でプレイしたくなりました。