シグルイ
今回紹介するのはマンガのシグルイです。
シグルイは原作:南條範夫先生、作画:山口貴由先生。チャンピオンREDに掲載されてました。
シグルイは「駿河城御前試合」における二人の剣士の対決と因縁を描いた作品です。
物語冒頭でいきなり御前試合の二人の対決直前が描かれ、そこから過去の因縁の話が延々と描かれて最後に御前試合の決着を描くという構成になっています。
二人の主人公
私のマンガを読むスタイルとして、大体の人もそうだと思いますが、好きなキャラに感情移入して読む事が多いです。
途中から好きなキャラというのは変わっていく事はありますが、それでも割と素直に最初から、私は主人公目線で読んでいきます。
シグルイですが二人の主人公が登場します。
一人目は藤木源之助。物語冒頭から登場し読者はこの人が主人公だとまず思います。
そして読んでいくと確かに主人公的な描写はされてるのですが、無口で感情も表に出さないのであまり人間味を感じさせないキャラになっています。
もう一人の主人公は伊良子清玄。
こちらはとにかく周りの人間達を利用して出世しようとする野心家で、物凄く人間臭いキャラです。
この二人の主人公ですが、個人的にはどちらも両極端に触れてしまっている感じがあり、どちらにも深く入り込めずに終始自分の中で何かモヤモヤする感じで読んでいました。
読んでる中でどちらに魅力を感じたか敢えていうと、私は伊良子の方なのですが、ただ伊良子にしても感情移入するにはあまりにも腹黒過ぎる感じがあり、手放しで好きなキャラだとは言えないです。
実際に物語の中心は、冒頭の駿河城御前試合の二人の対決に至るまでの過去の話になるのですが、話を回していくのはどちらかというと伊良子の方なので、どうしても伊良子の方がキャラが立ってしまいます。
じゃあ藤木の方はどうかというと、自分の中で秘めている意志というのは感じるのですが、途中というか最後の方まで素直な感情を表に出さず、最後の最後でやっと人間らしさを得て良い表情になり、作中の許嫁である三重も男として魅力を感じ始めた描写が出て、「これは!」と思ったら、ラストがあれだったので・・・・
キャラに対する感情は最後までモヤモヤした感じで終わりました。
何か惹きつけられる画力
そんなキャラクター達にモヤモヤした感じを持ちながらも、とにかく読む手が止められない、ドンドン先が読みたくにると感じたのは何と言っても山口先生の絵に取り憑かれたからです。
何と言いましょうか、決して画力が上手いという感じではなく(先生・ファンの方すいません)迫力だったり、不気味さだったり、グロさだったり、さらには物凄いエロさを感じさせるようなそんな絵に物凄く惹きつけられました。
そんな山口先生の絵と、決してまともではない剣術の描写(片腕がない剣士と盲目の剣士ですから)がピッタリハマって何だこれはという感じで見てしまいます。
とにかく構えから戦い方まで普通の剣術マンガではまず見られないような、異様な剣術描写の迫力が凄いです。
他にもとにかく迫力とグロさが入り乱れる過剰な描写が多いので、怖いもの見たさではないですがドンドン引き込まれていきます。
シグルイは決して万人に薦めるマンガではないですが、何処か得体の知れない魅力があるマンガです。